給油艦「速吸」

ブログ主は過去に熱射病でぶっ倒れて後遺症が残った為に自力制作はガンプラパチ組みレベルが限界で、保有しているキットはオークションで落札、或いは制作代行依頼を出して作って頂いたものとなりますことを予めお断りさせて頂きます。

今回は艦これブームのおかげで製品化が実現した特務艦(給油艦)「速吸」です。
……写真が1枚しか現存していない、それも雷撃を受け沈みつつある姿のみで事実上図面しか資料がない艦がよくぞキット化されたものと思います、割と本気で。
それだけ「艦これに登場した艦」というのは模型業界にとって大きな影響を持つ事になったと言えるのでしょうね。

「速吸」は書類上は「風早」型給油艦の2番艦となっていますが、船団参加時に対潜哨戒を自前で実施する為の水上機運用能力を求められ、「風早」とは大きく異なる艦容を持つ事になりました。
しかし設計中に発生したミッドウェー海戦における主力四空母の喪失に伴い、中・大型正規空母の攻撃能力を補う為に当時開発中であった十六試艦攻兼爆(後の「流星」)を搭載する事が決定、発進専用の補助空母として建造される事となります。

かなり特異な生い立ちを持つ「速吸」ですが、まずは全体から。
速吸全体1速吸全体2
速吸全体3速吸全体4
全体としては二島型(前後に離れて2つの上部構造を持つ型式)の一般的なタンカーと同じ姿を持っています。
著しく異なるのは艦橋を含めた前部上構と煙突を中心とした後部上構に挟まれた中央部で、艦橋直後の右舷に大重量の搭載基に対応した一式二号11型射出機1基を装備、その後方に水上機/流星を最大6機搭載出来る飛行作業甲板が設けられています。

その飛行作業甲板。
速吸飛行作業甲板
射出機の旋回圏に合わせて飛行作業甲板が半円を描く形で切り欠かれています。

飛行作業甲板を左舷ほぼ正横から。
速吸飛行作業甲板2
飛行作業甲板の下はそのままタンカーとしての甲板となっており、格納庫等はありません。
搭載しているのは零式水上偵察機で、画面中央に25mm三連装機銃の銃座が見えます。

「速吸」艦首。
速吸艦首1
速吸艦首2
艦首に八九式12.7cm連装高角砲1基を装備、また艦橋構造直前に門型ポストが配置されていて艦首方向からでは艦橋が良く見えない状態となっています(艦橋からの見通しは悪くないはず)。
左舷に見える「====」の構造は蛇管(給油ホース)を通す為のもので、縦引(補給艦の前後に受給艦を配置する洋上給油法)での補給作業に用います。

「速吸」艦橋。
速吸艦橋1
前方/斜め前方からでは艦橋がクレーン用の門型ポストの蔭になってしまうので右舷正横から。
門型ポストに装備されたクレーンは横引(補給艦の左右に受給艦を配置する洋上給油法)での補給作業時に舵管をぶら下げる為に使用します。
また艦橋前に置いてある防舷物(接触した際に衝撃を吸収させる為のもの)を移動させる場合にも用いられます。
艦橋横にも25mm三連装機銃が装備されています。

「速吸」艦尾。
速吸艦尾1速吸艦尾3速吸艦尾2
艦尾にも八九式12.7cm連装高角砲を1基装備、煙突後部には25mm連装機銃、前方左右両舷に25mm三連装機銃を各1基装備しており、25mm機銃は戦訓に伴い建造中に当初予定より増備されたものとなっています。

後部クレーン。
速吸クレーン
水上機収容用のクレーン。
零式水上偵察機は発進後に帰投・収容を行う事が出来ますが、流星は発進させたらそれっきりで近場の飛行場や味方空母への帰投、或いは着水させて搭乗員のみ収容という前提となっています。
また左舷のクレーン基部の下には恐らく泊地での運用を考慮したと思われる陸軍の大型発動艇(大発、海軍名称は十四米特型運貨船)を1隻搭載。

マリアナ沖海戦において事実上第一補給部隊旗艦として行動、給油艦としての任務を果たすものの同海戦において艦橋直後の甲板に爆弾の直撃を受け損傷、しかし「戦闘航海ニ支障ナシ」の報告をしつつ戦闘行動を継続、士気の高さを示しました。
同海戦後に呉海軍工廠において損傷個所の修理を実施、1944年8月には艦隊へ復帰して「速吸船団(ヒ71船団)」を編成、石油輸送の為に南方へ向かう事となります。
この船団はフィリピン防衛の為に陸軍将兵を満載した輸送船や「速吸」と同じく石油輸送を目的としたタンカー、さらに給糧艦「伊良湖」、護衛艦艇等合計20隻で構成された大規模なものでした(大西洋では100隻以上の船団も普通でしたが……)。
しかし「速吸船団」はバシー海峡を航行中に米潜水艦の攻撃を受けタンカー「永洋丸」が大破落伍(駆逐艦「夕凪」の護衛の元台湾高雄へ退避)、さらにフィリピンルソン島北部ラオアグ沖で護衛空母「大鷹」が米潜水艦の雷撃によって撃沈されてしまいました。
護衛部隊の要とも言える護衛空母「大鷹」の喪失によって船団各船は単独かつ全速力で各自退避行動を開始。
そして「速吸」は退避中に米潜水艦「ブルーフィッシュ」の雷撃により魚雷2本が命中、行動能力を喪失した所にさらにトドメとなる魚雷3本が命中しフィリピン北部西岸のビガン沖にて撃沈されました。
この攻撃の際に米潜水艦「ブルーフィッシュ」から撮影された沈みゆく「速吸」が上述の通り彼女の姿を記録する唯一の映像となってしまったのです。
艦隊型給油艦兼補助空母として特色ある艦容を持つ「速吸」でしたが、その生涯において攻撃機の運用を行う事はついにありませんでした。

次回更新は陸軍特殊船丙型「あきつ丸」もしくは25日以降の更新だと航空母艦「隼鷹」のどちらかになる予定。
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