まるゆ

ブログ主は過去に熱射病でぶっ倒れて後遺症が残った為に自力制作はガンプラパチ組みレベルが限界で、保有しているキットはオークションで落札、或いは制作代行依頼を出して作って頂いたものとなりますことを予めお断りさせて頂きます。

デジカメが壊れたのでパソコン内のフォルダを漁っていたら撮影済みのまま使用していなかった「まるゆ」の画像が5枚出てきたのでようやく更新。
陸軍がガダルカナル戦における補給状況を鑑みて「海軍の護衛は当てにならない」という判断のもと(それはそれである意味正しい)、「知られたら絶対邪魔されるから海軍には極秘で作ろう」というとんでもない決断で開発が決まった存在です。
実際問題として陸軍が潜水艦に手を出す事は権限を侵すものとして建軍の精神に反するとされかねないものでした。
それでも陸軍が開発を強行したのは陸海軍における補給に対する認識の差が大きく影響しています。

まるゆ全体像
まるゆ1まるゆ2まるゆ3
艦橋前に搭載されているのは対戦車砲を改造した

一般的にガダルカナル戦における飢餓状態の発生等により補給・兵站に対する理解がないと思われがちな日本陸軍ですが、実際には陸軍の補給に対する理解はそうひどいものではありませんでした。
ガダルカナル戦においては後方の集積拠点に物資をきちんと輸送しており、失敗したのはあくまでも最後の作戦輸送なのです。
そして作戦輸送の護衛を担うのは海軍の責任であり、その護衛任務を軽視していたのが海軍でした。
これは陸海軍の補給に対する理解の差から生まれたもので、陸軍は兵が戦う為には食料弾薬を始め莫大な物資を運ばねばならないという現実をきちんと認識していたのですが、海軍はそもそも燃料弾薬から食料、衣料品に至るまで全てフネに積み込んだ状態で行動する事が前提でした。
この為海軍では基本的に自前の搭載物資で必要なものを賄えてしまう為に「物資を運ぶ輸送船を護衛する」という認識が極めて薄いままだったのです。
何しろ一度出撃してしまえば基本的には作戦を終えて港に戻るまでの間、当時の洋上補給能力という問題もあって燃料くらいしか補給の必要がありません。
この認識の差により陸軍が孤島で戦い続ける為には絶え間ない食料弾薬の補給が必要である、という単純な現実を理解出来なかったとも言えるでしょう。

まるゆ艦内
まるゆ1

実際、ガダルカナル島の放棄が決定した後、ソロモン諸島を巡る戦いの前線をどこに置くかという会議でも海軍の無理解ぶりが判ります。
陸軍は「補給の困難さを考え最低でも北部ソロモンまで後退、可能ならばラバウルまで前線を下げる」事を提案したのに対し、海軍は「中部ソロモンを確保する」と回答しています。
補給に関してはぶっちゃけ「なんとかなります」以上の考えはなく、この点だけでもガダルカナル戦での補給途絶という意味を全くと言っていいほど理解していなかった事が伺えます。
そして実際に中部ソロモンのコロンバンガラ島やニュージョージア島といった島々では(ガダルカナル島程ではないにせよ)補給の途絶に苦しみ、「セ号作戦」と呼ばれた大発による撤退作戦が実施される事になります。
海軍の態度が終始こんな感じだった事に加え、今後の潜水艦輸送任務には海軍が新規開発する輸送用波号潜水艦に陸軍船舶兵を乗せて運用するという案が出されたのですが、海軍側に潜水艦運用の主導権を握られる事を恐れがある事からこれを拒絶、後にまるゆとなる潜航輸送艇の開発を決定しました。

まるゆ左舷正横
まるゆ左舷正横

開発の経緯等はさておき、攻撃能力を最初から切り捨て突貫建造に特化したまるゆはなんと1943年末には一番艇が就役。
最初にフィリピン向けの輸送作戦に従事しましたがこれは成功とは言い難く、派遣した3隻全てを喪失。
その後は八丈島や硫黄島への物資輸送を始めとする輸送任務に投入されています。
最終的に30隻以上が就役したまるゆは細々とした輸送ではありましたが既に水上艦艇では往復も困難になっていた地域への輸送を堅持し続け、孤島に配備された部隊への補給を担い続けたのです。

さて、これに対し海軍の輸送潜水艦は?
潜輸大、潜輸小共にまるゆの竣工から1年以上後にようやく完成したもののまるゆ程の実績は残すことは出来ませんでした。
陸軍が潜水艦を、それも海軍に黙って建造すると言う経緯には批判もあるでしょう。
しかし海軍がまるゆほどの簡略化に踏み切る事が出来ず、結果として輸送潜水艦の就役時期が遅れた事を考えればまがりなりにも実戦化を果たし一定の成果を収めたという事実は重いものがあると言わざるを得ません。

海軍の伊号潜水艦とまるゆの大きさ比較
伊号潜水艦セット&まるゆ全体
左上が伊号第400型潜水艦、右上が海軍の大型輸送潜水艦伊号第370潜水艦(輸送作戦を諦め回天搭載母艦へ改装された姿)、その間のちんまいのがまるゆ。
下段左が伊号第16潜水艦、下段中央手前側が伊号第68(後に艦名変更で伊号第168潜水艦に)、下段右が伊号第58潜水艦。

なおまるゆは艦内にトイレがなく、一斗缶を半分に切った「おまる」に水を入れ臭気除けとして表面に油膜を張ったものを使用していました。
……急速潜航時や荒天時に艦内がどのような有様になったのかは想像したくないですね(==;
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No title

>>ガダルカナル戦においては後方の集積拠点に物資をきちんと輸送しており、失敗したのはあくまでも最後の作戦輸送

陸軍、有能(掌クルー


>>一斗缶を半分に切った「おまる」に水を入れ臭気除けとして表面に油膜を張ったものを使用

やっぱりブラックじゃないか(憤怒

もともと、

最初の奪還作戦が成功していれば補給の問題も発生していないので、米軍兵力の過小見積もりという意味では責任は大きいです>陸軍
とはいえガダルカナルに進出して飛行場を建設し始めたのは海軍なのでやっぱり責任の比重は海軍という事に……。

陸軍は輸送船でも「舷側に板を2枚渡してその間からボットン」という方法を取っていますので、フネにおけるトイレに関して無関心だったのかもしれません……w
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